SPECIAL 01
クロストーク
横浜市 ✕ 人事交流 ✕ 民間企業
職員による対談や技術職員へのインタビュー。
さらに職員のことを知る。
※2025年時点の情報
主体的・積極的に考え行動していく姿勢や意識、柔軟な発想力、先見性を醸成するとともに、視野の拡大を図るなど、将来の横浜市を担う人材を中長期的な視点で育成していくことを目的とし、民間企業などと職員を相互に派遣し合う人事交流を実施しています。人事交流を経験した職員が、横浜市と民間企業とのギャップや気づき、業務へ向ける姿勢や思い描く将来像などを語ります。
MEMBERS

政策経営局
シティプロモーション推進室
広報戦略・プロモーション課
派遣先:
相模鉄道株式会社

市民局
区政支援部
区政イノベーション推進課
派遣先:
東日本電信電話株式会社

経済局
ビジネスイノベーション部
イノベーション推進課
派遣先:
株式会社伊藤園
人事交流とは?
民間企業など組織風土の異なる環境に職員を派遣し、主体的・積極的に考え行動していく姿勢や意識、柔軟な発想力、先見性を醸成するとともに、視野の拡大につなげるなど、人材育成に取り組んでいます。
フロー
実施状況
人事交流(中堅・若手職員(28歳~39歳))
・R6実績:10名(派遣・受入)
・派遣先例:イオンリテール㈱、伊藤園㈱、相模鉄道㈱、全日本空輸㈱、東急㈱、富士ソフト㈱ 等
企業等派遣(課長補佐・係長級職員(原則39歳以下))
・R6実績:6名(派遣)
・派遣先例:㈱日本政策投資銀行、三菱商事㈱、㈱横浜銀行、LINEヤフー㈱ 等
Q1
現在の業務について教えてください

モビリティ関係のスタートアップ支援を行っています。自動車関連の企業が集積していることは横浜市の強みです。移動手段のイノベーションを活性化するため、横浜市内外を問わず、企業同士のコミュニティが広がるようなイベントも実施しています。将来的には自動車だけでなく、ドローンや配達ロボットなど様々なモビリティ関連のスタートアップが横浜に集まり、新産業が生まれることで、経済の活性化や脱炭素化、さらには地域交通課題の解決に貢献することを目指しています。

デジタルの力を活用した区役所のサービス向上や業務の効率化などを担当しています。具体的には、マイナンバーカードや免許証を活用して、市民の皆様の書類への記入を軽減したり、スマートフォンでのウェブ予約などの取組を通して、「書かない」「待たない」「行かない」そして「つながる区役所」を目指しています。

横浜市への居住促進プロモーションを担当しています。横浜と聞くとキラキラした街のイメージが強いですが、実は住みやすい街ということを知っていただき、「選ばれる都市」になるため様々な取組を行っています。「横浜移住サイト」というポータルサイトの担当として、住むことにつながる要因分析や横浜の強みに関するデータ分析から、それを踏まえたプロモーション戦略の立案などを行い、横浜の暮らしの魅力を発信し「住みたい・住み続けたいまち」を目指しています。
Q2
次に、人事交流の派遣先ではどのような仕事をしましたか

株式会社伊藤園のマーケティング本部販売促進部で、ポスターなどの販促物の制作やイベントの企画・運営を担当していました。営業の後押しをすることが目的で、季節や行事に合わせた売り場の企画を考案したり、伊藤園の工場や茶畑にバイヤーさんをご招待する生産現場の見学会など、B to Bの企画も担当しました。



東日本電信電話株式会社で法人営業を担当し、データ分析やAIなどの最先端技術を活用して、お客様のお悩みや社会課題を解決するための新しいソリューションを設計していました。また、新規事業開発やDXのコンサルティングも担当しており、自治体の職員向けDX研修や勉強会にも携わりました。翌年度の予算獲得に向けた新規事業の提案をするなど、自治体から依頼を受ける企業側の体験ができたことはとても新鮮でした。



相模鉄道株式会社の経営統括部で、中期経営計画や年度経営計画の策定を担当していました。具体的には鉄道の安全・安定輸送の確保やデザインブランドアッププロジェクトの取組に必要な、駅や車両の設備投資の精査を行っていました。実際に現場見学もできて、とても貴重な経験でした。他にも、相鉄新横浜線の利用促進キャンペーンも担当しました。同業の鉄道会社さんや相鉄グループの会社とともに、連携しながら実施したのが印象深いです。


Q3
他の組織で働いて気付いた、派遣先と横浜市のギャップを教えてください

広報を行う際の情報量や打ち出し方です。派遣先では商品のターゲット層に刺さるように、キャッチーなコピーやビジュアルで、興味を持ってもらうことに特化しています。本市では、対象となる全ての市民の方に広報を行う機会が多く、正確で不足のない情報を発信する必要があるため、どうしても文字が多くなりがちです。それぞれの広報の目的は異なるものではありますが、派遣先でのターゲットを絞った「選んでもらうキッカケ」になるための広告作りは、行政の業務では経験のないギャップでした。

リモート勤務やオンラインでのコミュニケーションなどの働き方です。派遣先はフルリモート勤務だったので、会議は原則オンラインで録画機能や文字起こしを活用しており、コミュニケーションもほとんどチャットでのやりとりでした。デジタルの力で一歩先の働き方が実現していて、デジタルツールを最大限に活用したスピード感のあるコミュニケーションと柔軟性のある働き方はとても魅力的だと思いました。横浜市でもテレワークやフレックスタイムなどの制度に加えて、ビジネスチャットやウェブ会議システムなどのデジタルツールも導入されてきていて、働きやすい環境が整いつつあると感じています。

派遣先での仕事の進め方の速さが印象的でした。お客様のニーズに対してすぐにヒアリングをして事業化する、民間企業の業務のスピード感を実感しました。この経験を活かし、今の職場では民間企業のフットワークの軽さを意識しながら業務に取り組んでいます。例えば、私が担当しているプロモーション業務においては、トレンドやアンケート結果から、求められているものを分析し、即時にサイト運用に活かしています。
また、競合他社との関係性からも学びがありました。ライバルでもありますが、情報交換や連携を行っていて、協力体制があります。行政にも通じるところがあると思うので、自治体間でも連携し良い関係性を築くことで、質の高い行政サービスの提供につながると思います。

Q4
人事交流で学んだことを横浜市にどのように活かしていますか

担当しているスタートアップや企業向けの広報では、溢れ返るセミナーの中から興味を持ってもらう必要があり、人事交流での販売促進の経験で身につけた「選んでもらうキッカケ」になる情報発信のスキルを、今の業務に取り入れています。また、派遣先ではグローバルな視点を共有したり、市場調査や業界研究などから、お客様のニーズやインサイトを汲み取ることを大事にしていました。横浜市でも、他都市はもちろん、海外都市の情報など幅広い視野で情報をキャッチする必要があると思います。いつの時代も魅力的な横浜市であり続けるために、アンテナを張って業務に取り組んでいます。

デジタル技術は日進月歩で、次々と新しいサービスが出てきています。技術もニーズも多様化し変化しているなか、トレンドに追いつきながら、速く小さく実行し、次に繋げていくことの大切さを学びました。横浜市のイノベーションやデジタル分野においても、社会のニーズやトレンドに追いつくスピード感が求められていると思います。まだアナログな部分が残っている行政と、最先端のICT企業の両方の働き方を経験できたからこそ、それぞれの長所と短所を自分の目で見ることができました。これからの区役所や自分たちの働き方にも、ベストミックスの形で組み合わせて、進化させていきたいと思います。

相模鉄道では、相鉄グループの事業会社という強みを活かして、ホテル、流通や不動産などの多種多様なグループ会社と連携して業務が行われていました。私自身も流通部門の担当者と連携することで、お客様の満足度も向上できる「win-win」で規模の大きいキャンペーンを実現できました。横浜市でも、様々な区局があり、それぞれ強みを持っているので、活用しない手はないと思い、各区局と連携を強化して業務を進めることを心がけています。例えば、居住促進に関係する区局を一堂に集めた「居住促進プロモーション検討会」を運営し、教育、子ども、都市整備、建築などの専門部署のメンバーとの議論や意見交換を通じて、取組のアイデアを膨らませています。

Q5
改めて横浜市役所の良いところを教えてください

積極的に新しいことを取り入れようとする組織マインドです。イノベーションという部署名もついているとおり、経済局では社会課題解決のための実証実験も活発に行っており、横浜の住みやすさや経済活性化を推進したいという意識が、組織や職員全体にあります。また、行政には社会的な信用があり、中でも横浜市は政令指定都市、国際都市というポテンシャルがあることも強みです。行政と何かやりたいと思っている企業も多いことを派遣先で感じたので、より官民連携事業の裾野を広げていくことで社会課題の解決につながると思います。先進的な取組を先導できる都市であり続けるために、これからも頑張りたいです。

自治体職員向けDX研修などで他の自治体職員の方とお会いして、それぞれの自治体の課題や取組などを伺って多くの気づきや学びを得ることができました。横浜市は日本最大の基礎自治体として様々な面でスケールメリットがあるため、大都市だからこそできることや突破できることもたくさんあり、新しい施策にチャレンジしやすい環境があると改めて気が付きました。また、都市を創るという大きな仕事から、一人ひとりの市民の皆様と向き合う仕事まで携わることができることも、横浜市ならではの強みだと思います。改めて横浜市で働いて良かったと思いますし、行政だけではない民間企業での人事交流の経験も活かして働き続けたいと思います。

横浜市役所以外での勤務を経験したことで、横浜市では多くの女性が活躍していることを強く再認識できました。キャリアとして、ロールモデルとなる女性の先輩や上司がたくさんいるので、見て学んで成長していける環境があります。その他、職場の異動があっても研修などサポート体制がしっかりしていることも強みだと思います。今でも、初めてのことや学ぶことが多い毎日ですが、異動した際のフォロー体制がとても充実していたり、困った時にサポートしてくれる仲間がいてくれたり、風通しよく助け合える組織風土があるので、働く上での安心感が大きいです。そうした環境の中でさまざまな業務に携わることで、自分に向いている業務に必ず出会えると思います。多様なスキルが身につき、過去の経験を新しい配属先で活かすことができる点も、横浜市役所で働く魅力だと思います。
